京終堂

 

□京終堂(きょうばてどう)について

 

魔女の店。

「あちら」と「こちら」の境界を監視し守るための店。

京の終て、都の果て、あちらの果て、こちらの果て、境界。

 

時計屋・薬屋・人形屋の三つの店から成り立っているが、

更に骨董品や書物なんかが店の棚に所狭しと並んでいる。

 

店を立ち上げたのは、時計の魔女。

京終堂は最初は時計屋だった。

数百年前に時計の魔女と京野が出会い、薬屋が加わる。

それから何年後、何十年後、何百年後のことだったか、

時計の魔女に弟子が出来、それからまた幾年か後、

また國京が京終堂に来店し、最後に人形屋が加わった。

 

 

 

□各店について

 

・時計屋

 

時計の魔女の得意魔法、彼女が時計の魔女たる所以。

人や人でないモノたちの、心身の状態を「時計」として具現化する魔法。

 

つまり時計屋の直す「時計」とは、それを指している。

「時計」を直したり、手を加えたり、改造したりすることによって、

不治の病を治したり、妖の呪いを解いたり、人でないモノに人と同じ時を歩ませたりすることができる。

この魔法はもちろん弟子である京屋も習得している。

 

そのため時計屋の「売っている」時計は、ただの普通の時計でしかない。

 

 

・薬屋

 

種も仕掛けもないただの薬屋。

店主京野の、1200年弱の齢から積み重ねられた知識と経験、人(?)脈によるもの。

人や人でないモノたちの、どんな症状にも最適な薬を調合・処方する。

ただし常識的な薬ではないものが多いため、値段は高額なことがほとんど。

 

 

・人形屋とは

 

売っているものは人形であり、夢。

店主國京は夢魔の類で、人形を媒介に夢を人に売ることができる。

売っている人形は、ドールやフィギア、ぬいぐるみにパペット等々、夢に合わせて様々。

たまに動いたり喋ったりするとかなんとか噂があるけれど、きっと気のせいよね。

 

 

 

□眠りについた時計の魔女について

 

京終堂のある世界線は、不都合が起きてしまった。

例えば、同一人物が複数いるだとか。

例えば、死ぬ運命にあるものが死ななかっただとか。

不都合の起きた世界は、終わりを迎える。

何事もなかったかのように。

 

時計の魔女は、逃げることができなかった。

見捨てることができなかった。

愛しい弟子は、まだ世界を渡れない。

旧友、仲間、友人、みな見捨てることができなかった。

 

だから時計の魔女は、世界を止めた。

他の世界との干渉を断ち切り、世界を閉じることによって、世界を止めてみせた。

そうすることで、世界の終わりは食い止められた。

 

代わりに魔女は、眠りについた。

世界を止めることに用いるエネルギーは膨大で、

眠りにつかなければ維持することができなかった。

 

不都合に終わりが来るまで、

世界が終わらないで済むようになるまで、

時計の魔女は永遠に眠り続ける。

 

 

 

□閉じられた世界について

 

時計の魔女が世界を閉じてしまったため、

他の世界線から彼の世界に行くことは不可能であった。

しかし万能の魔女・殿閃が、強引かつスマートに世界をこじ開け、

京終堂に次元の穴をあけたことにより、

伊予苑家から、伊予苑の名を冠するものであれば、

彼の世界に渡ることができるようになった。

 

ただし、京終堂の外に出ることはできない。

それをしてしまうと、時計の魔女が世界を閉じた意味がなくなってしまうから。

彼らが京終堂の外に出ることで、彼の世界は終わりを告げてしまうことだろう。

そのため、彼の世界の住人でないものは、京終堂の店の出入り口をくぐることはできない。

もちろん、万能の魔女・殿閃ならば、京終堂の外に出ることも可能だろうけど。

(あくまでこのおはなしは橘王子の一次創作である世界線の噺であって、UTAUの彼らが存在する京終堂や、その他二次創作の世界線では世界は閉じられていないのかもしれない)

 

 

 

□京終堂の出入りについて、例外ズ

 

傘花は京終堂のある世界に行くことが出来ない。

何故ならば、傘花と時計の魔女は、別の世界線の同一人物だから。

いかに万能の魔女・殿閃と言えど、同一人物による干渉・悪影響・存在の捻じれを止めることは容易ではない。

そのため、傘花だけは彼の世界に渡ることができない。

 

そして花徒は元から彼の世界の住人だから、京終堂の外に出ることが出来る。

京終堂の中から外へ行くことも、外から中に行くことも可能。

 

 

 

□結局世界の不具合って何よ

 

A.花徒。

 

花徒は沢山の人間の集合体のような妖で、存在するためには人間の肉体が必要で、

仲間にして取り込んだ子の肉体を使いつつ、その肉体が死んだら次の子を勧誘して取り込んで…というエンドレス。

で、本来は肉体の子の人格を主人格とするんだけど、花徒の現肉体を持っていた少女が主人格になるのを拒否。

その結果生まれたのが「花徒」という人格。

ここまでは問題ない話。

 

少女(花徒の肉体)は時計の魔女とよく似た存在だった。

時計の魔女さんが他の世界から来たイレギュラーな存在で、まずこの2人が同時に存在していた時点でちょっと不安定だった。

そして少女が妖に変異し、花徒という人格が生み出されたことが、すごい世界に負担だった。

この辺が重なったことでなんかすごいバグった。

 

そして、不具合のある世界が終わり、不具合を無くした世界、つまり「時計の魔女が居なかった世界」で整合性をとることになった。

(実際現在そっちの世界も存在しているが省略)

ただ、時計の魔女さん的にはおいおいそれじゃダメなんですけどウチの弟子とか京終堂どうなるんすかってことで、世界を閉じた。

 

時計の魔女が眠るのは世界の不都合に終わりが来るまで……ということになっているが、ぶっちゃけ花徒(達の妖)がほぼ半永久的に続いてしまうタイプの存在なためかなり無理そう。

解決案として花徒(達)を他の世界線に移してしまうという案があるけど、なんか色々難しいので保留になっている。

そのうち進展するかもしれないけど「永遠の眠り」が美味しいので(メタい)進展しないかもしれない。